今回は
$$(a+b)(b+c)(c+a)+abc$$
の因数分解にチャレンジしてみましょう!
その前に、似たような因数分解例もご紹介しておきます。
ab(a+b)+bc(b+c)+ca(c+a)+3abc の因数分解
複雑な因数分解シリーズの解説です。この問題もみんな同じところで行き詰まるんですねぇ。途中までいい感じで解き進めるんですが、今までとちょっと違うぞ?という式が出てきて行き詰まってしまうんですね。「実は、こういうパターンもあるんだよ。」というのを知っているか否かが成否を分ける分岐点なのかもしれませんね。是非ご覧ください。
では、本編に戻ります。
この問題を解く手順は以下の通りです。
1:式の展開
では、式を展開していきましょう!
\(
\begin{eqnarray}
与式&=&(ab+ac+b^2+bc)(c+a)+abc\\
&=&abc+a^2b+ac^2+a^2c+b^2c+ab^2+bc^2+abc+abc\\
&=&a^2b+a^2c+ab^2+ac^2+3abc+b^2c+bc^2
\end{eqnarray}
\)
2:\(a\)について降べきの順に並べなおす
次に\(a\)について降べきの順に並べなおしていきます。
\(
(b+c)a^2+(b^2+3bc+c^2)a+(b+c)bc
\)
3:とんでもない因数分解が潜んでいた!
実は、ここまでなら多くの学生が辿り着きます。
しかし、\(a\)の係数である\((b^2+3bc+c^2)\)を因数分解しようとしても\((b+c)^2\)に因数分解できないことに気づき、ほとんどの学生がここで行き詰ります。
実はこれこそがこの問題の落とし穴だったんです。
\((b^2+3bc+c^2)\)を因数分解するのではなく、
\(
(b+c)a^2+(b^2+3bc+c^2)a+(b+c)bc
\)
この式をこのままたすき掛けすればよかったんです。
4:\((b+c)a^2+(b^2+3bc+c^2)a+(b+c)bc\)のたすき掛け
ということで、
\(
(b+c)a^2+(b^2+3bc+c^2)a+(b+c)bc
\)
をたすき掛けしてみます。
(b+c) bc → bc\\
×\\
1 (b+c) → b^2+2bc+c^2\\
→ b^2+3bc+c^2
\)
5:最終形(答え)
ということでたすき掛けが出来ました。
たすき掛け後の式の形は、
\(
\begin{eqnarray}
与式&=&{(b+c)a+bc}{a+(b+c)}\\
&=&(ab+bc+ca)(a+b+c)
\end{eqnarray}
\)
これで完了です。