学習塾の教室運営者に向けてエールを!入塾の心得と準備

塾講師サポ

少子化が叫ばれて久しいですが、塾業界で働く教室運営者にとっては、自教室の受講生数が増えたり減ったりするのは気がかりで仕方ないでしょう。30年も前なら入塾テストで学力のない入塾希望者を門前払いできたのですが、今は、門前払いなどすると経営にかかわります。

そこで、今どきの学習塾の教室運営者が、入塾の話が出た時に心得ておいたほうが良いことや流れをまとめておきたいと思います。

入塾の心得と準備

入塾っていつが多いのか?

そんなの決まってるじゃないか!新年度が始まる時期だよ!

おっしゃる通り!
この時期は、どの塾も新入塾に向けて準備を行っているはずです。では、この新年度の時期以外に入学が多いの時期はいつでしょうか?

入塾の多い時期

①新年度授業が始まるころ
これは、塾運営の方針にもよりますが、おそらく2月から4月になると思います。私が勤めていた塾も例にたがわず3月スタートでした。

②季節講習会の前
これもよくあることですね。ただ、季節講習会だけ受講して入塾はその後に考える、というご家庭もあります。この時期の入塾に関しては新年度の入塾とやや違うと言えます。

①、②以外にも定期テストの結果が返却されたタイミングで入塾希望の問い合わせが入ったりします。いつ問い合わせが入っても対応できるように入塾手続きの準備は事前にしておきましょう。

問い合わせから契約の手前までで気を付けること

どこの塾でも入塾までの流れなどのマニュアルはあると思います。今更そのことについて触れることはしませんが、最近多いのが、「入塾テスト」と「入塾面談」の非実施です。

入塾テストを実施しないのは個別指導塾が多く、理由としては、個別指導なので個人別カリキュラムを組んで指導を行えるから、ということです。実際に私の勤めていた塾も個別指導部門は無試験で入塾を決めていました。

とはいえ、担当する生徒の学力状況が全くわからない状態で指導しろと言われてもアルバイト講師には荷が重すぎます。少なくとも定期テストの答案用紙を持ってきてもらうことで学力状況を確認したほうがいいでしょうか。

とにかく、学力状況が全くわからない状況で受講生を受け入れるのは運営側としてはリスクが高すぎるという認識を持ってください。

入塾面談とは、入塾する生徒本人との面談です。私個人的な意見ですが、これは絶対すべきだと思っています。理由は「素行確認」を行えるからです。

誤解のないように例を示しますと・・・
私もかつて何度も経験したことなのですが、学校で先生からよく注意されている生徒や、提出物を期日通りに出さない生徒、生徒同士で「あいつ不良やで!」と呼ばれているような生徒を受け入れると、これまで頑張っていた生徒たちが、次々に塾をやめていって、新たに受け入れた素行の悪い生徒だけが残り、新入塾生は増えなくなります。挙句、その素行の悪い生徒が塾の悪い噂を学校で喋りまくり、塾もやめていく。そして塾がつぶれる。私は2度この経験をしました。塾の運営方針通りに受け入れを行ったにもかかわらずです。

皆さんの塾がこのような顛末を辿らぬように祈ります。だからこそ、入塾前の学力点検と受講希望する生徒本人との面談は実施してほしいと思います。

入塾面談で話しておくこと

保護者にはシステムをきちんと説明しておきましょう。特にお金にかかわることは認識のずれがないようにしておきましょう。

では、受け入れる生徒にはどんな話をしましょうか?

やる気の出るような話、希望が持てるような話、などして、最後は「一緒に頑張ろうね!」という感じで契約に向かうのではないでしょうか?私も例にたがわず、研修でそのように指導されました。しかし、2度も教室閉鎖の経験をすると、「一緒に頑張ろうね!」なんて微塵も出てきません。むしろ「お前、ほんまに本気で勉強するんか?」という気持ちが先行します。

そんな中で私独自で考えた「入塾前の生徒の聞くこと」をリスト化してみました。

①目標はあるのか?
②直近の自分の定期テストの5科目合計は何点だったか?
③直近の定期テストの5科目の学年平均点は何点だったか?
④公立高校の入試システムはどこまで知っているのか?

この4点だけ聞く、というよりは、箇条書きのペーパーにして面談前に書いてもらうようにしていました。

①で「目標なし」と書いた生徒はいませんでしたが、「おいおい、本当にそれ目標にしてんのかよ?」と思う内容は多々ありました。

②と③で、私は、自分の5教科の合計点数をきちんと答えられる生徒は受け入れてよし、という基準を設けていました。点数をこたえられない=点数に興味がない→点数を上げる気がない、という結論です。おおむね当たっています。

②がこたえられる生徒でも③まで正確に答えられる生徒はいません。ですが②で自分の立ち位置の基準だけでもわかっただけましです。④で高校との距離を知ったうえで最終確認「本気でやるならしっかりサポートしますよ」というスタンスで受け入れ業務を行っていました。

20年前はこれでも教室に100人程度の受講生は集まりました。しかし今は、この基準で受け入れを行っていたら30人も集まりますでしょうかね?

先にも触れた「お金」の話ですが、子どもに聞かせたくない、とおっしゃる保護者様も多いですが、私は子供も一緒に聞くべきだ、と思っています。理由は簡単で、自分の勉強にどれだけのお金がかかっているのか、という現実を知ってもらうためです。ただこれで失敗するパターンとして、保護者様が子どもに対して「お前の勉強にこんだけも金がかかるんやからしっかり勉強してくれよ!」みたいなことを言うとすべてが水の泡です。このセリフは我々塾側のセリフだといつも思っています。

余談ですが、(ほぼ余談ばかり書いてますが・・・)某有名予備校の有名講師がテレビで「塾はぜいたく品」と話していたことが妙に印象に残っているのですが、私も実はこの心境です。正直言うと、毎月、安物のandroidタブレットを買い替えるくらいの金額を親が支払ってくれるわけですから。これほどのぜいたくはないでしょ。

後は契約へ

契約書類を書くときも昔なら自分の名前と住所くらい自分で書いたらどうだ?と言って生徒本人に書かせていました。ハンコまで自分で押す生徒もいましたが、印象としてこういう生徒は最後までよく頑張っていました。

今はこういうことも時代遅れなことなのかもしれませんね。ちゃちゃっと書類手続きだけ済ませて、いつから通塾が始まるのか、持ち物は何なのか、などを確認したら入学手続きは終わりです。

この時に、「キャンセル防止」のために、塾の外まで出てお見送りする、などとマニュアルで決められている塾もありますが、私はそこまでしませんでしたし、塾のマニュアルにもそこまでは書かれていませんでした。「サービス業なんだからやって当たり前やろ!」とまで上司に罵倒されたこともありますが、それよりも成績を本当に上げることじゃね~の?といつも思っていましたね。この上司、成績が上がらん時は「受講生が悪い」で、成果が出れば「私のおかげ」と言って保護者と話していました。

最後に

確かに成果が出るか否かは受講生次第とは言え、成果が上がるようにサポートする、と言って受け入れたわけですから、成果が出なかった場合、受け入れた側にも責任はありますよね。それも含めて入塾というのは、受け入れた生徒の成績を上げてなんぼ、まで見据えることが大事です。

そのためには、普段からよく受講生と話をし、保護者に対しては良かれ悪かれ状況説明をする責任があると思っています。

生徒一人を受け入れることは、決して売上金額が上がるのではない!
受け入れた生徒の成績が上がるのであって、その結果、代金が支払われるのである。

ここは塾運営の根幹ではないかといつも思っています。

職務経歴や転職希望条件などを匿名で登録しておくと、あなたに興味を持った 求人企業や転職エージェントから直接オファーが届くサービスです。なかにはサイトに掲載されていない 非公開求人のオファーが届くことも!

リクナビNext

タイトルとURLをコピーしました