求人サイト(広告)から「雇用契約」なのか「業務委任契約」なのかを見抜くポイント

講師バイトサポ

本日の話は

実際に求人サイトの掲載情報から契約内容をさぐる

です。
塾講師アルバイトなんてブラックだから興味ね~わ、という方はスルーしていただいて結構です。
ただちょっと考えていただきたいのです。
どうして講師バイトがブラックと言われるようになったのか?
今から20年ほど前までは超高収入バイトの花形だったんですよ!!!
その理由が知りたい方は一度この記事をお読みください。

404 NOT FOUND | 塾講師サポ

さて本題ですが、ネットで講師募集をしている実際のサイトを見てみたいと思います。
求人広告の記載内容の見えない部分を解説していこうと思います。

結論から言いますと、求人広告はどうしてもハードルを低くして記載する必要があるんです。
塾講師の応募が少ないから、そうすることで応募数を増やして人材確保していく、という方法をとっているんです。

求人広告の見えない部分の見方

塾講師のアルバイトを検討している人は恐らくアルバイト雑誌、もしくは求人サイトを見て応募されると思います。
以下の引用は、ある求人サイトに記載されている、TVCMも流れている塾のTOP記事です。

■個別指導教師■
小学生~高校生の指導。中学生が一番多いので、中学3年生レベルの指導が出来れば大丈夫です!

※一コマにつき1~3名程度の指導をお願いします。
※個別指導の為、生徒一人ひとりに合わせて丁寧に指導する事ができます!
※国語、英語、社会、数学、理科の内の好きな科目だけでOK!

未経験の方でも充実した研修がありますので大丈夫です。自分の得意な科目を都合の良い時間や曜日に教えて頂くことが可能です。とにかく明るく楽しい職場です。当塾の講師に一番必要なのは、一人一人の生徒と正面から向き合える誠実な心。個別指導ならではの丁寧できめ細かい指導をしていただける方を歓迎します。スタッフが積極的に意見出し合い、なんでも言い合えるフランクな雰囲気も自慢です。

1授業(80分)1,600円~1,950円です。
※小・中学生1対3指導時
※研修期間(3か月)あり

以下の中で相談に応じます。
≪平日≫17:30~21:50 ≪土曜日≫13:00~18:50
◆授業は1コマ80分! 
◆週1日&1コマ~OK!
◆講習中は12:30~授業あり

【非常勤講師】
自分の都合のいい時間や曜日に、自分の得意な教科を選んで教えて頂くことが可能です。

塾講師Japanより引用

中学3年生レベルの指導が出来れば大丈夫

「小学生~高校生の指導」を依頼しているのに、中3レベルの指導が出来たら大丈夫って本当?って思いますよね。
この記載内容の見えない部分は受講生の人数割合にあります。

私の勤めていた塾も人数が一番多いのが中学生で。割合で言えば60%くらいでしょうか。その次に多いのが小学生で30%くらい。高校生の割合は10%程度なのです。

例として50人の塾生がいたとして、小学生は15人、中学生は30人、高校生が5人、という感じです。高校生は専門性が高いので高校生専門の塾へ行く傾向にあります。さらに受け入れ側も、指導できる講師がいるなら受け入れるがそうでないなら専門塾を勧めます。(※中には売り上げのためにムリクリ近隣の教室から講師を引っ張ってでも受け入れようとする運営者もいます。)受け入れ人数の割合が低いので中3レベルの指導が出来たらOKとなっているのです。

では中3レベルとはいったい何を根拠にしているのでしょうか。
採用側は最低でも高校入試の問題を解いてその解説ができるレベルと思っている部分があります。大阪の場合は3種類の問題が用意されますが、大抵の個別指導塾ではB問題を解くことが出来て解説が出来るレベルの学力を求めています。

中3レベルの学力をクリアするために

① もしご自宅に中学時代の教材が残っているのであれば、一度1年から3年までの問題に目を通していただいて、8割解けるか確認してみてください。

② 次に、高校入試問題を解いてみてください。採用を目指す科目だけで構いません。(※大阪の場合だとB問題)その問題で8割解けたら学力では問題ないです。

1コマにつき1~3名程度の指導

これは言わずともわかると思いますが、講師一人で最大3名まで指導をお願いします、ということです。実はこの時にズレが生じています。それは、3人とも同じ学年の生徒かどうか、ということです。

個別指導塾で担当する生徒はほぼ学年が違うと思った方がいいです。ただし、小学生と高校生をペアリングで指導する、これは無茶では?と私は思っていますが、金儲け至上の運営者がいる教室ではこのようなペアリングを平気でします。これは面接の時点できちんと聞いておく必要があります。別に小学生と高校生がペアリングでも構いませんとおっしゃるのであれば特に聞く必要はないです。

また、複数科目指導ができると言って採用された場合、英語と数学を教えることもあります。私もかつて英数理の3人3科目の指導をしたことがありますが、しっかり予習をしておかないと対応できませんでした。教室運営の仕事もありつつ、この3人の指導のために予習をする時間も取りつつ、で、講師専業でもかなり苦労があると思います。

1~3人の指導をクリアするために

予習時間を確保する。
予習というと問題を解くだけと思っておられるかもしれませんが、講師の行う予習は、生徒がどんな質問をするかを事前に想定して、それに対する答えを用意しておくこと、です。

問題の解き方をワンパターンにしないこと。数学は答えが一つでも考え方はいっぱいあります。その考え方をどれだけ示せるのかも予習です。

更には、問題を読まずに問題を解こうとする生徒もいますし、問題の日本語をわかりやすい日本語に翻訳するという予習もあります。

このように相手を想定した予習を求められているということをお知りおきください。

1授業(80分)1,600円~1,950円 研修期間(3か月)あり

ここはお金が絡むのでいい加減なことは書けません。
私が勤めていた塾は、研修期間は時給が低く設定されていました。

上記の例ですと、80分1600円なので時給に換算し直すと1時間1200円となります。これも私が勤めていた塾の話ですが、研修期間中は1200円ではなく1000円に設定されています。経験者だとしても最初の研修期間は1000円の時給でした。

【103万円の壁】塾講師・アルバイト 共に知っておくべき賃金の話。
以前勤めていた塾で、若い教室責任者がこの103万円の壁を知ってか知らでか…、人気のある講師をどんどん働かせて、11月支給の給料で103万円を超えてしまうという現実に直面し、無理くり指導コマを減らして103万円の壁を守ろうとした結果、受講生の保護者から苦情が殺到し、その対応に私も駆り出されたことを思い出し、これは覚書程度でも書いとくべきと思って筆を執りました。

研修期間(3か月)あり をクリアするために

これは正直どうかなる案件ではないです。雇い主がそう決めている以上とやかく口をはさむ余地がありません。ただ1点だけ突破口があるとするなら、指導経験が1年以上あってブランクが半年未満であれば指導能力はさほど落ちていないと考えられるので、いきなり指導時給から始められないかと交渉することです。

私が勤めていた塾はそれでも研修給からスタートでした。理由は、研修を行うから。全く研修もなく先輩講師と同じ指導が出来ますか?というのが塾側の言い分です。この部分でとやかく争うのはやめておくのが賢明でしょう。

講習中は12:30~授業あり

これはしっかりと聞いていただきたい部分があります。
12:30から80分授業を一体何コマ行うんだ?ということです。それによって休憩時間はあるのか?ということです。労働基準法が絡んでくるのでその辺は塾側も理解していると思いますが、念のために記載しておきますと、

労働基準法第34条で、労働時間が
 6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分
 8時間を超える場合は、少なくとも1時間
の休憩を与えなければならない、と定めています。

厚生労働省ホームページより引用

ただし、12:30から授業を始めたとしても17:00には授業が終了した場合、労働時間は4時間30分なので休憩時間は発生しません。また時給が発生するのは指導している時間だけ、と思ってる運営者もいます。授業と授業の合間の10分間とかも休憩時間とみなされますが、生徒が質問にやってきてその指導に当たった場合は指導とみなされます。この辺の細かなことは

アルバイト講師に係る監督指導事例

をクリックして各自確認ください。

労働時間や内容に関してトラブルを起こさないために

面接の時点でしっかり聞くことです。でも具体的に何を聞けばいいのかわからない、という場合が多いですよね。そこでアドバイスですが、

 ① 授業のほか、授業以外ですべき具体的な業務内容を聞きましょう。
 ② 授業時間に対する時間単価(レッスン自給)と授業以外の労働時間に対する時間単価(事務給)が異なる場合は、具体的に業務に対応する時間単価を聞きましょう。
 ③ 生徒からの質問・相談等により授業が延長した場合は、時給が発生するのか聞きましょう。

さらに、学生アルバイトであっても、雇い入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した場合は、週の所定労働日数に応じた年次有給休暇を取得できます。これは結構稀ですが、私が勤めていた塾では何人かが取得していました。年収も150万~200万くらいの人ではないでしょうか。以下に年次有給休暇の取得条件を記載しておきます。

年次有給休暇の付与日数(週所定労働日数が 5 日以上、または週所定労働時間が30時間以上の場合)】→週の労働日数が5日以上ある、または、週の総労働時間が30時間以上、という意味です。

都合のいい時間や曜日、自分の得意な教科

このように書くのは広告会社がこのように書いた方がいいと勧めるからです。理由は応募してくる人が一人でも増える可能性があるからです。でも考えてみてください。応募している人が全員火曜と金曜なら17:00以降勤務可能です、といったら他の曜日に生徒を集められなくなりますよね。また、学生ですから試験があります。試験期間は生徒と同じで勉強に集中したいものです。前期テストは7月末から8月初旬にあります。この時期は休ませてほしいと連絡が入ります。ではこの間は生徒の指導無しにしますか?という話になってしまいます。そんな極端な例を出して・・・と思われますが、現実はこういうことが多々あります。

講師ファーストなのか、生徒ファーストなのか、と言われたら塾は生徒ファーストになります。生徒の都合で先生の配置をします。そのため、曜日の偏りが発生します。面接する側は、欲しい曜日に勤務できるアルバイトを募集しています。出来たら全曜日大丈夫という人が欲しいのです。

さらに、科目も英語だけなら指導できます、というよりも英語も数学も指導できます、の方がありがたいのです。先にも書きましたが、英語と数学を同時に指導できる先生は運営側としては重宝します。

面接の際にはこの文面を真に受けずに、これまでに書いたようなことが背景にあって募集しているんだとわかったうえで臨んでください。

時間・曜日・得意な教科をクリアするために

なるべく勤務可能である曜日を2日以上確保することをお勧めします。
無理やり2日作れと言っているわけではありません。どうしてもこの曜日だけということもあるでしょう。そういう時は気長にその曜日でも採用してくれる塾を探せばいいだけです。

さらに指導科目ですが、個別指導塾のアルバイトを考えているのであれば、やはり英語と数学は必須でしょう。過去に社会だけ得意なんですが・・・といって面接に来る人もいましたが、クラス指導でもしていない限りほとんどニーズは無いでしょう。英語と数学の指導ができるように勉強し直すことをお勧めします。

まとめ

以上、5つのチェック項目を見てきましたが、改めておさらいします。

① 中3レベルの学力があれば大丈夫

この文言の意図は、高校生も在籍しているが、指導のメインは中学生で、採用段階で高校指導もできると言わない限り高校生の指導の担当にはならないでしょう。

それよりも、中学レベルの学力があるかどうかを高校入試問題を解いてみて8割解けたらこのハードルはクリアしていると思って大丈夫です。

② 一度に指導する生徒が1~3人

この文言の隠れた部分は、学年の異なる生徒の指導を行う、ということです。中学生の指導がメインです、と書いてあったとしても、小学生と中学生をペアリングする塾もあります。また、英語・数学・理科のように3人とも違う科目の指導も行う可能性があります。

採用前にどのようなペアリングになっているのかを確認しておいた方がいいでしょう。採用側も最初は無茶苦茶なことは言いませんが、1年も経つと無茶を依頼してくることもあるので、1年ごとに契約更新されると思うのでその時に改めてきちんとした契約を結んでください。

③ 研修期間3ヶ月

指導未経験者には使用期間のごとく3ヶ月の様子見期間が存在します。その間の時給は求人広告に記載されている時給よりも少ない金額になっています。面接の際に採用側がトラブルにならぬように先に口火を切るはずです。

ここは会社の決定事項なのでどうあがいても変えようがありません。ただ1点突破口を開くことが出来るとするなら、自分は個別指導塾で1年以上指導した実績があって、ブランク期間も半年未満だから普通に指導できる、と言い切って通常のレッスン時給を勝ち取れるかどうかです。可能性は低いですが、経験者であれば話してみる価値はあると思います。

④ 講習期間は昼間から授業あり

労働基準法に抵触しない程度に働いてください。一例を記載します。

アルバイト講師について、時間外・休日労働協定の締結・届出なく、夏休み等の期間においては、「1コマ」90 分の授業を、1日に最多で「7コマ」(合計 10 時間 30 分)行わせるなど、1日の法定労働時間(8時間)を超える時間外労働を行わせていたもの。
(※1)→労働基準監督署の対応
※1:労働基準法第 32条(労働時間)違反に対して是正勧告

厚生労働省 神奈川労働局より引用

ミナミの帝王というマンガをご存知でしょうか。主人公の萬田銀次郎のある一言で私は目を覚ましました。その一言とは

法律は弱いもんの味方やない、法律を知っとるもんの味方や。

です。皆さんもしっかりと勉強してください。

⑤ 都合のいい曜日・時間、得意な科目

例えば、土曜日が空いているので昼間から塾講師のアルバイトしよう!っと決めて面接に行っても土曜日はもう先生いっぱいなんです、という事態になりかねません。また国語が得意なんですけど採用してもらえますか?というのもニーズが少ないので採用されにくいです。

いちばんいいのは、勤務に都合の良い日を最低2日用意しておく。更に得意科目はこの際置いておいて、英語と数学の指導ができるように勉強し直すこと。これが採用される早道です。

<最後に>
最後まで読んでくださり誠に有り難うございました。元学習塾の雇われ店長の経験を基にした話、いかがでしたでしょうか。気になる部分がありましたらコメント欄に書いていただければわかる範囲でかつ話せる範囲で回答させていただきます。

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